PUS(Public understanding of science)一般市民の科学理解
類似のものにPUMS(Public understanding of medical science)およびPUM(Public understanding of Medicine)がある。
知識が市民に開かれていて、市民が政策決定に参加できることが米国市民社会では大切である。専門知識は専門家にしか分からないから任せておくというのでは、開かれた社会にならない。一般市民が科学専門知識を理解し科学技術政策などの意思決定に参画することが米国市民社会の理想である。
一般市民の科学理解としては「トップダウン式」「啓蒙主義的」なものと、「ボトムアップ式」「社会学的(草の根的)」なものがあると言われている。
たとえば宇宙飛行の問題ならば、大半の人は直接の利益にも危険にもならないから、PUSは世論形成プロセスの問題ということになる。一方、医療の領域では、医療保険をどのようにするか、そこで社会の判断が求められ、PUSをもとに市民が最終決定する。また、自分や家族が病気になった時、判断が求められることがあり、自己決定に至るためにはかなりの知識が必要である。このような個人的個別的判断の場合にもPUSが基礎になる。
火星まで行った方がいいのか費用を考えてやめるのか、インターネットセキュリティと市民の自由をどうするのか、石油をどうするのか、中国とどうするのか、核兵器をどうするのか、クローン医学はどうするのか、老年期認知症はどうするか、HIVはどうするか、ガンの予防はどうするか、遺伝子治療はどうするか、医療保険制度をどうするか、肥満者の社会的待遇をどうするのか、進化説と創造説をどうするのか、市民がすべての政策決定に関与すべきであり、その基礎にPUSがあるから、どう考えても大変である。現実には無理もあるが理念としてはこれしかない。