新自由主義、ネオコン(新保守主義)、第三の道と安倍総裁

自民党安倍総裁誕生に際して、新自由主義、ネオコン(新保守主義)、第三の道について復習しよう。出典はいずれもフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』。筆致は新自由主義に対して批判的であり、第三の道への過渡的なものと考えているようである。

現実の経済社会は純粋条件下にあるわけではないので、理論通りにはいかないが、それをもって理論の誤りだと決めつけるわけにもいかない。普遍的原則と局地的条件を勘案して現実を読み解くことだ。北米社会の発達段階と南米社会の発達段階は異なる。IMFのふるまいや国連の関与について、全部否定するものでもない。しかし、多国籍企業が発達段階の異なる社会にどのように介入すべきかについては、問題が多い。

また、北米内部にも社会階層により発達段階の相違はあり、自ずから意識も異なる。キリスト教精神と新自由主義の折り合いはつくのか、その点も興味がある。現実の不幸の、不十分な慰撫となっている点は、昔と変わらない。宗教がきわめてしばしば心理操作の体系であったことは歴史の中で明白であると思う。以下、引用。

新自由主義
この項目ではneoliberalismについて説明しています。
政治学史などの分野で使われるnew liberalismの訳としての意味については社会自由主義をご覧ください。

新自由主義(しんじゆうしゅぎ、英:neoliberalism、ネオリベラリズム)とは、政府の機能の縮小(小さな政府)と、大幅な規制緩和、市場原理の重視を特徴とする経済思想。富の再分配を主張する自由主義(リベラリズム)や社会民主主義と対立する。New liberalismと区別する為、超自由主義と訳す事も多い。

目次
1 変遷
2 評価
2.1 新自由主義への批判
3 関連項目

変遷
第2次世界大戦後、1970年代頃まで、先進諸国の経済政策はリベラリズム(ケインジアン)が主流であった。これは、伝統的な自由放任主義に内在する市場の失敗と呼ばれる欠陥が世界恐慌を引き起こしたとする認識のもと、年金、失業保険、医療保険等の社会保障の拡充、公共事業による景気の調整、主要産業の国有化などを推進し、国家が経済に積極的に介入するべきであるという考え方である。

このような、大きな政府、福祉国家と呼ばれる路線は、1970年代に入るとマネタリストやサプライサイダーからの批判にさらされる。当時、英国は英国病と揶揄された慢性的な不況に陥って財政赤字が拡大し、米国でもスタグフレーションが進行し失業率が増大した。こうした行き詰まりの状況を生み出したのが、国家による経済への恣意的な介入と政府部門の肥大化にあるというものである。

こうして1980年代に登場したのが新自由主義である(ハイエクの新自由主義論:1986年)。その代表例が、英国のマーガレット・サッチャー政権によるサッチャリズム、米国のロナルド・レーガン政権によるレーガノミクスと呼ばれる経済政策であった。サッチャー政権は、電話、石炭、航空などの各種国営企業の民営化、労働法制に至るまでの規制緩和、社会保障制度の見直し、金融ビッグバンなどを実施。レーガン政権も規制緩和や大幅な減税を実施し、民間経済の活性化を図った。同時期、日本においても中曽根康弘政権によって電話、鉄道などの民営化が行われた。

1990年代に入ると、日本では小沢一郎が、著書「日本改造計画」で、新自由主義の思想を集約した。「日本改造計画」では、小選挙区制の導入、市町村の全廃と300市への収斂などが述べられている。ただし、現在では小沢一郎も新自由主義に反対の立場を明確にしている。 又、ビル・クリントン政権の経済政策、いわゆるワシントン・コンセンサスに基づくグローバリゼーションは、新自由主義の典型と言われた。1990年代以後に現れた、韓国の金大中政権や、日本の小泉純一郎政権の政策も、新自由主義の典型である。

評価
英国が英国病を克服したこと、米国がスタグフレーションを脱し、1990年代にはインターネットなどの新産業が勃興して産業競争力を回復したこと、南米ではブラジルが1990年代までの深刻なインフレの抑制に成功し安定成長を遂げていることなどは、新自由主義的な経済政策の功績であると考える説がある。

この立場からは、日本でも、小泉首相の新自由主義的な政策によって、経済の供給面が強化され、2002年以降の高い経済成長率につながったとされる評価が大勢を占め、国・地方の借金が1000兆円を超えるような状況では、なるべく国の関与を減らしていく新自由主義的な政策を行わざるをえなかったとされる。

それに対し、これらの効果は新自由主義とは無関係であるという主張や、下記に述べるような批判も強く、日本など一部の地域以外では過去の理論になりつつあるとして、以下のような批判もなされている。

新自由主義への批判
グローバリゼーションは米国多国籍企業による世界経済支配を拡大させているに過ぎないという批判もある。南米では1990年代初頭から米国主導による新自由主義の導入が積極的に行われた結果、貧富差が拡大し社会が極度に不安定化、犯罪多発や麻薬汚染、経済危機といった社会問題が頻発する様になる。象徴的なのがストリートチルドレンやアルゼンチンの財政破綻である。その反動として、現在ではこれらの国の人々は米国に騙されたとの感覚を抱き、反新自由主義・反グローバリズムを掲げる反米左派政権の誕生が相次いでいる。また、フランスではグローバリゼーション自体の功績の部分(たとえばインターネットの普及における国際通信の促進)は認めつつも、より社会正義に見合う形のグローバル化を進めようということで、アルテルモンディアリスムという動きが進められている。

韓国では、金大中政権下で20万人以上もの人々が失業し、事実上「刑死」(失業による自殺)に追い込まれた者も多い。日本でも、小泉純一郎政権は郵政民営化や国立大学法人化など、日本で史上最も新自由主義的な政権であり、流動性が高く低賃金であるフリーターや派遣社員が増加し、「勝ち組」「負け組」の格差拡大や下流社会の拡大が予想されている。人材派遣に象徴される労働者の使い捨て、「不良債権の処理」と称した中小企業潰しが横行し、「民間(=大企業)は盛えて、市民(=労働者)は滅ぶ、首都は盛えて地方は滅ぶ」の二極分化が、小泉政権下で急速に進められているとする論者もいる。

英国も、サッチャー政権下で失業率と所得格差が増大した為、現在のトニー・ブレア政権も、その修復に追われている状態である。

新自由主義について、「国民の生存権の保障」を、「『サービス』という名の営利事業」に変えたとの指摘がある。つまり、従来は民(=大企業)だと撤退する準公共財の供給事業を官が補完していたが、新自由主義はそれを否定し、「民(=大企業)こそ絶対だ」という単一の発想に基づいているという指摘である。たとえば、日本の障害者自立支援法案審議では、政府側の中村秀一厚生労働省社会・援護局長は「今度の法律というのは、やっぱりサービスは買うものだと、みんな買う主体になると、言わばそういう考え方に立ち、少しでもその費用についてはシェアすることによって当事者としての参画もしていく」(2005年10月6日、参議院厚生労働委員会)と答弁した。障害者をサービスを受ける「消費者」と見なしているのである。

国営事業の民営化による弊害の例としては、南アフリカ共和国とアトランタ市(米国)における水道事業の民営化や、ニュージーランドにおける郵便・電力・航空事業の民営化、英国鉄道の民営化などがある。南アフリカにおいては、巨大な貧困層を抱えるのにも係わらず水道料金が上昇したために水道料金を払えない世帯が続出し、深刻な社会問題となっている。アトランタにおいては、水道管の点検と交換がままならなくなり、銹びた水が噴出して、ペットボトルが必需品となっているという。ニュージーランドにおいては、一旦民営化が行われたものの、様々な問題を生じたために再国営化が行われた業種(郵便貯金)もある。英国鉄道は利益を優先し施設管理への投資を怠ったため、多くの重大な鉄道事故を引き起こし、経営も悪化したため2002年に倒産し、再国有化・非営利法人化などが考えられている。

日本国内の評価とは全く正反対に、上記のように新自由主義的な政策で国民経済が回復した国は実際には存在しないとする説もあり、債務国の再建策として新自由主義的な経済政策を推し進めていたIMFも、2005年にその理論的な誤りを認めている。

尚、新自由主義の次の経済政策として、欧州では英国のブレア政権に見受けられるように公正と公共サービスの復興を唱える第三の道勢力が優勢である。特に世界で最初に新自由主義を始めた保守党 (イギリス)自身がデービッド・キャメロン党首の就任後に、新自由主義の間違いを認め、サッチャリズムを自己批判した。

南米ベネズエラ,ブラジル,チリを始め、中道左派政権が誕生し、反新自由主義を打ち出している。アメリカ合衆国との経済統合に抵抗を示している。

関連項目
資本主義
自由主義
新保守主義
社会ダーウィン主義
反共主義
労働運動
リバタリアニズム
ミルトン・フリードマン
フリードリヒ・ハイエク
プレカリアート(負け組)
アルテルモンディアリスム
旧自由党
小沢一郎
小泉純一郎
竹中平蔵
村上世彰
堀江貴文
光クラブ事件
ヒルズ族

新保守主義
新保守主義(しんほしゅしゅぎ、ネオコンサバティズム、英:Neoconservatism)は政治的立場の一種。

最も頻繁に用いられる意味としては、1970年代頃に登場した、文化的な伝統主義と、経済だけ小さな政府を重視する立場を指す。俗に「ニューライト」(New Right、新右翼)とも称され、また略称としての「ネオコン」もよく使われる。

「新保守主義」を含め上記の言葉は時代や地域や文脈によって指し示す対象がそれぞれ異なる。本記事で記述していない用法もある。

アメリカの文脈では外交政策上は強硬で、軍事力の重視やイスラエルに対する積極的な支援を表明する傾向にある。経済的には政府による介入を排し、市場や企業の活動を放任する傾向にある。減税、福祉削減、規制緩和などによって特徴づけられる。また、家族、性道徳などを重視する保守的な価値観、倫理観を持ち、妊娠中絶、麻薬問題、同性愛者の権利問題などをめぐる政策に反映される場合がある。1960年代、アメリカ東海岸の社会民主主義者(social-democrat)や元トロツキストたちがアメリカ民主党の「弱腰」外交に失望し、共和党に移行したものである。

目次
1 各国における新保守主義
1.1 日本
1.2 アメリカ新保守主義
2 関連項目

各国における新保守主義
米国のレーガン政権、英国のサッチャー政権、日本の中曽根内閣が新保守主義の代表例として言及される。日本の新保守主義者は、アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権などが新保守主義に従って華々しい国勢の回復を図ったかのように喧伝しているが、むしろ地域や企業の競争力を削ぎ、大多数の国民の生活水準を落として国家の分裂をもたらしたと否定的に評価される事が多く、国際的な評価は定まっていない。2003年、イギリス保守党がサッチャリズムを「過去のもの」として新保守主義との決別を宣言した。

日本
日本では、基本的な部分は保守主義と同じで過去から現在に至るまでの連続性を尊ぶが、状況によっては変化や断絶を積極的に行うべきとの考えを持ち、必ずしも天皇制に依拠しない。外交的には憲法改正と日米同盟の強化、限定された範囲内での中国や北朝鮮への強硬姿勢や国際秩序を乱す行為に対しての国家権力の行使を躊躇わない。内政的には規制緩和(国鉄や電電公社などの民営化)と構造改革と自由経済の尊重、福祉政策は小さくあるべきとの考え方だが、基準を設けて最低限の社会保障を整備する。道徳的には個人の自助努力を最も尊ぶべき価値観に据えており、生命倫理の面では米国のネオコンや福音派の主張に賛同している。

日本の新保守主義は自民党にも民主党にも存在する。主に若手議員で国防議論をすることに躊躇しないことを特徴とする。松下政経塾出身の議員に多い。

アメリカ新保守主義
米国で20世紀中葉より流行中の”新保守主義”と、中曽根やレーガンの新保守主義とは、同じ言葉でも意味が違う。現在の新保守主義者は、レーガン政権内の一勢力として育ってきたものであり、そこではあくまでも少数派であった。

関連項目
保守主義
保守革命
革新
自由主義
新自由主義
松下政経塾
国粋右翼

第三の道
第三の道(だいさんのみち 英語:The Third Way)とは、新自由主義的な保守政権に対抗するために、主にヨーロッパの社会民主主義勢力が取り入れた政治路線の総称。イギリス労働党のブレア政権(1997年~)が最も有名である。

ここではイギリスのものの概略を示す。サッチャーの「社会などない」発言に象徴されるとおり、社会的連帯の制度的表現である福祉国家はブレア以前の保守政権下で次第に解体されつつあった。市場を重視した民営化一辺倒であったと言うことができる。他方、労働党は従来の産業国有化方針を脱却できず、市場化の波には対応できないままであった。一方の市場化一辺倒、もう一方の市場化の無視。この状況を乗り越えようと、市場を重視しつつも国家の介入による公正の確保という従来の保守-労働の二極対立のちょうど中間の路線を目指そうとしたのが、「第三の道」である。ここで具体的に行われた政策は、保守党が重視してきた所得税の増税凍結を継承する一方で、より社会の下層に配慮し公正を目指す教育政策・雇用政策等を展開することや、弱者を手当てする(ネガティブウェルフェア)のでなく、家族形成や就労を含めて「社会参加」の動機づけを持つ者を手当てする(ポジティブウェルフェア) という依存型福祉から自立型福祉への移行、サッチャーによる中央集権政策への反省から地方の自治・自立を促すラディカルな地方分権(スコットランド・ウェールズ・北アイルランド各地方へ地方議会の設置)等がある。

この「第三の道」を掲げたブレアを党首とした労働党は、1997年5月の選挙で勝利し、現在も政権の座にある(2006年8月現在)。

この成功はヨーロッパ各国の社会民主主義政党に影響を与え、ドイツ社会民主党のゲアハルト・シュレーダー政権の政策なども「第三の道」の影響を受けている。