アーカイブ23

Mar 1, 2006
春の花

花は時とともに失われてしまう。ターシャ・テューダーの庭も冬を迎えると雪に覆われる。いったんはすべてが枯れ果てる。しかしだからこそ春の喜びがある。

わたしはドライフラワーを試みた時期がある。そのころのものをいまも飾っている。薔薇はきれいなドライフラワーになった。生花の時の色が四種類でも、自然乾燥のドライフラワーにすると三種類になったりもした。色素の種類を考えるヒントになった。
撮りためた薔薇の写真がある。週に一度新しい薔薇を机に飾った時期があり、それを写真に撮った。多分一年分くらいになる。

薔薇が水を吸ってくれるかどうかは偶然のようだ。お店ではよく分からないらしい。水切りをしたり茎を焼いたり、いろいろやった。薬品も使った。濡れた新聞紙で包む方法も試した。結局、二日ほど様子をみて水を吸い上げないようだったらドライフラワー用に切り替えることにした。

シリカゲルの中に花を埋め込んで電子レンジで乾燥させる方法がある。まだ試していない。プリザーブドフラワーも興味がある。

鉢植えではシクラメンがとても元気だ。いまも紅と白が咲いている。また、春のチューリップは容易に咲く。色を混ぜたくて人工交配している。ラベンダーは年によっていい年と悪い年がある。去年はうまくいかない年だった。今年の冬は寒くて、これまで連年でうまく咲いていた蘭が一鉢枯れてしまったように思われる。
盆栽用の松を育て始めたところ、若葉がとてもかわいかった。特有の形をしている。そのあとはうまく育たず、早々に諦めた。
知人は薔薇を育てるにあたって、庭の土を焼くのだという。徹底的に殺菌するためらしいがはっきりしない。

庭があったら、温室も作りたいものだと思う。

Last updated Mar 2, 2006 02:00:58 AM
Feb 28, 2006
米国絵本作家ターシャ・テューダーのNatural Gardenと銀色夏生「庭ができました」角川文庫

NHK「ターシャ・テューダー 四季の庭 喜びは創りだすもの」2005年を見た。米国の国民的絵本作家ターシャ・テューダーは90歳である。23歳で結婚、最近の50年間はひとり暮らしだ。米国バーモント州の家に住み、30万坪、東京ドーム20倍の庭を営む。そのNatural Gardenはgardeningを好む人のあこがれだという。質素に心豊かに暮らし、生活は祈りと感謝に満ちている。彼女の描く絵本は100冊を超え、米国開拓者が入植した当時の味わいに満ちている。彼女はその当時に近い生活を続けている。雑草も好きという。「庭の設計はしない。ただ好きな花をいろいろ植えていくだけ。でも一応の形ができるまでは最低でも12年はかかる」と語る。ナレーションは「もちろん勉強を重ねて選び抜かれた花である」と解説していた。「はじめての植物を植えてみる時は、三カ所に植えて試してみる。一番適した場所を知るため」とのこと。光、水、風などの適合性を見るのだろう。Natural Selectionのprocessを人間の手で促進しているわけだ。野の花が咲き乱れる草原は「人間と自然との調和」を実現している。「Formal garden かたくるしい庭」は好きではないという。

花々の色の微妙さは興味が尽きない。光の当たり具合でも感じが変わる。知り合いの素人カメラマンは、朝日を浴びる小さな花を写すために機材を抱えて朝の一番電車に乗る。

番組では和名と英語名が紹介されている。名前は興味深い。
ある一群の病気で出現する「ヘリオトロープ疹」というものがある。現在ではヘリオトロープとは何かを改めて学ばなければならない。しかしこの言葉が作られた当時は、ヘリオトロープが身近にあり、ヘリオトロープのような発疹ということで分かりやすかったのだろう。Garden Heliotropeはカノコソウだ。両側あるいは片側の眼瞼部の紫紅色の腫れぼったい皮疹をヘリオトロープ疹と呼び、膠原病の一部を疑う。夏目漱石の「三四郎」にヘリオトロープの香水の話が出てくる。

アツモリソウはLady’s Slipperだ。朝日新聞の一面にある花の写真と短い解説が好評なのも、人々の花に対する愛を思わせて好ましい。

思い出したので、銀色夏生「庭ができました」角川文庫をとりだしてながめてみた。完成するまで1年以上かかり、そのあとはのんきにのび放題にしているとのことだ。Natural Gardenに近い部分も多くある。

庭はいいものだ。一種類の植物を三カ所に植えて違いが分かるほどの広さがあればなお望ましい。

そういえば、動物行動学者コンラート・ローレンツは水槽の中に自然を再現する方法を紹介していた。水槽の中に実現するNatural Gardenだろうと思う。

Last updated Mar 2, 2006 01:56:57 AM
Feb 27, 2006
Suddenly, Last Summer

ジャズ菊地成孔のアルバム「南米のエリザベス・テーラー」のことが頭にあったので、Tenessee Williams原作の映画「Suddenly, Last Summer」をテレビ東京の放送で見た。Elizabeth Taylor (Catherine Holly),Katharine Hepburn (Violet Venable),Montgomery Clift (Dr.Cukrowicz)などが出演。州立精神科病院、ロボトミー、Dementia praecox、フロイト的治療など、古すぎて長い解説を付けないと分からないくらいだ。内容については特に面白いこともないので解説しても仕方がない。もったいつけた割にはたいしたことのない話である。Elizabeth Taylorは、わたしには魅力的ではなかった。Suddenly, Last Summerで検索すると、舞台『セバスチャンの庭』に関係していることが分かる。セバスチャンはSuddenly, Last Summerの登場人物であり、彼の愛した庭には不思議な植物がたくさんある。
Dementia praecoxはドイツの精神医学者クレペリン先生が決めた言葉で、直訳すると「早発性痴呆」となる。20代から始まる認知障害のことを指す。その後ドイツのプロイラー先生がSchizophreniaと呼ぶように改めた。日本ではこれを精神分裂病と呼んでいたが、最近は統合失調症と呼ぶことになった。テレビ東京の担当者は見識があり、変に訳さないで、デメンチアプレコックスとそのままでセリフに出していた。何重にもデリケートな言葉なので、それがよいと思う。
この病気は時代により、環境により、重症度や経過が異なるようで、不思議なことだと言われている。最近は軽症化が言われており、なぜなのか議論があるが、分かっていない。

ハリウッドの昔の白黒映画といえばヒッチコック「Notorious」も続けて見た。Ingrid Bergmanは美しかった。しかし特段に賛美したくなるほどでもない。今の日本ならもっと美しい人がたくさんいる。脚本としてもたいして評価できない。Ingrid Bergmanの人生がもみくちゃになる少しだけ前の時期だろう。Ingrid Bergmanが映画の仕事をしても、こんなおままごとには飽き飽きするという気持ちも分からないではない。

Last updated Mar 2, 2006 01:44:05 AM
Jan 15, 2006
~さくらさんの知恵袋~9 「お花のための草むしり」 [ カテゴリ未分類 ]
さくらさんは近くをお散歩します。そこは砂利道で、草の中にひがんばなや小菊、水仙などが咲くところ。あまりにも草がぼうぼうな時は、草むしりをするそうです。そんなとき、こころに留めている言葉は、小さな子の一言。「虫のおうちがなくなっちゃうから、草、ぜんぶとらないでね」。さくらさんはその言葉を受けとめて、虫のおうちを残しておいて、お花のために草をむしります。
ふだん何気なく通っている道に草が生えている、そこには、花も咲くけれど虫も住む。それを見つけられるやわらかなまなざしで、もういちど身の回りを見渡してみたいものです。
今まで気がつかなかったけれど、そこに小さなきらきらが待っているかもしれません。
さくらさんの真似をして、ふだんの生活の視点をすこしだけ変えてみたら、すてきなことが起こりそうな予感がします。

Last updated Jan 17, 2006 05:29:53 PM
Jan 14, 2006
川村結花「around the PIANO」所収「夜空ノムコウ」 [ カテゴリ未分類 ]
川村結花アルパム「around the PIANO」所収「夜空ノムコウ」。
かすかな悲しみと、しかし強い視力。

Last updated Jan 15, 2006 12:30:03 AM

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Dec 24, 2005
~さくらさんの知恵袋~4 さくらさんの「朝鮮みそ」利用法

さくらさんのおうちでは、「朝鮮みそ」が大活躍。毎年、東京・御徒町まで買い出しに行くそうです。おつゆにしたり、ぽかぽか暖まるお鍋にしたり、韓国料理のクッパ、もやしがあれば簡単にビビンバにもなる優れもの。「朝鮮みそ」はピリ辛で、そのなかに甘みがあるのが特長。しゃぶしゃぶの付けタレにしてもおいしそうですね。
さくらさんは、この朝鮮みそにひと工夫加えて、さらに使いやすく、おいしくします。
「さくらさんの朝鮮みそ」
1酒・醤油・はちみつに火を通し、ごまあぶらをちょろっと垂らす。
2ひとはだになるまで冷ます。
3ひとはだくらいになったら、ニンニクのすり身を加える。
4それらを、朝鮮みそと混ぜ合わせる。


私ならこれを市販のみそラーメンに入れて食べたい。豆板醤でもコクが出ておいしいが、さらにおいしいだろうと予想する。

Last updated Dec 25, 2005 12:16:15 AM
Dec 18, 2005
~さくらさんの知恵袋~3 さくらさんの「ゆずこしょう」

夏の終わり、8月末~9月のはじめにかけて、ゆずの木にまだ青い実がなっている頃には、さくらさんは「ゆずこしょう」を作ります。

1.青とうがらしと、すり下ろした青ゆずを同量、混ぜます。
2.合わせた量の30%の食塩を、加えてさらに混ぜます。
3.混ぜたものを、ビン(密閉容器)に詰めて、一週間待ちます。

すると、「ゆずこしょう」のできあがりです。
すじめ(酢締め)のお魚にとてもよく合うそうです。


今週末はフィギュアの浅田真央さんに驚きました。人間はすてきです。
精神科救急のドキュメンタリーも放送されていました。自殺を救いたい、それは切なる思いです。

Last updated Dec 18, 2005 10:31:06 PM
Dec 11, 2005
~さくらさんの知恵袋~2 「かんたん・ぽかぽか、お弁当の作り方」

暖かい休日には、近くの川べりや公園、海などにお散歩にゆくのはどうでしょう。おべんとうを持って、ちいさなピクニック。といっても、たまの休日におべんとうを作るのはおっくうですよね。ここでも、さくらさんのお知恵を借りてみましょう。
「かんたん・ぽかぽか、お弁当の作り方」
1白いご飯に、シソの葉など、あらかじめ混ぜておきます。
2おにぎりを作りましょう。にぎにぎ。
3食べる時、のりがパリッとしているほうが好きなら、おにぎりはラップでくるみ、食べる前に巻くのりを用意しておきましょう。
4ポット(水筒型)に、熱いお湯を入れましょう。
5わかめやネギ、おみそ汁の具になるようなものを細かく刻みましょう。
6かつおぶしの粉と、刻んだ具を大さじ一杯のお酒で溶いたおみそに混ぜて、くるくるラップで包みます。
すると、たとえば海を見に行って、浜辺でお昼ご飯を食べる時、そのおみそをポットのお湯で溶かせば、ぽかぽかおいしいお味噌汁が飲めるのです。
また、そのおみそを白いおにぎりに塗って、ちょっと焦げ目が付くくらいに焼くと、とてもおいしい焼きおにぎりになるそうです。さくらさんの焼きおにぎりは好評で、「またつくってね」とよくいわれるとうれしそうに語ってくださいました。
さくらさんのご家族は、釣りが趣味。もちろんその釣りにも、「かんたん・ぽかぽかおべんとう」は大活躍です。釣り竿を持って出かければ、夕暮れ、いろんなお魚でいっぱいになったクーラーを携えて帰ります。
「釣ってきたお魚によって調理法を変える」のもお魚をおいしく食べる秘訣。焼いたり、照り焼きにしたり、甘露煮にしたり。なかなか重宝する器具は、「圧力鍋」とのこと。

Last updated Dec 11, 2005 12:05:27 PM
Dec 9, 2005
ふきのとうを油で炒める方法もある

突然文体が変わったので自分でも違和感があります。
実は女性週刊誌文体は気になっていました。カルテを「……のよう」とか「……にして」などと書いて先輩に渋い顔をされていた人もいました。先日朝日新聞書評欄でこの文体が登場し、いよいよ普通の文体になったのかと思い、チャレンジしました。やはりしっくりしません。

ふきのとうについては、刻んでから油で炒めて、そのあとで味噌と混ぜるという意見を何人かから聞きました。私の家では油で炒めるも炒めないも、そもそもふきのとう味噌という発想がありませんでした。話題を出してみてはじめて分かることでした。
夫婦もそんなところがあります。一緒に住んでみてはじめて分かることの多いこと。

Last updated Dec 9, 2005 06:57:07 PM
Dec 4, 2005
~さくらさんの知恵袋~1 「ふきのとうみそ」

知り合いの奥様・さくらさんから生活の知恵を折々に教えていただいています。シリーズで紹介します。今日は第一回目。

寒いさむい冬の終わりを告げるふきのとう。
うっすら積もった雪の中に見つけると、ほのかな春の足音を感じて、ちょっとうれしい気持ちがしますね。
そのふきのとうを、摘み取って食べてみましょう。お口の中にも、ほろにがい早春の味がひろがります。
天ぷらにして食べるのは定番ですね。ここでは、
さくらさん直伝の、「ふきのとうのこんな食べ方」をご紹介します。

「ふきのとうみそ」
1ふきのとうを細かく刻む
2お味噌と混ぜる。

これでできあがりです。この一手間が、さらなるおいしさを引き出すのですね。
たとえば貝などのおつゆの時に、この「ふきのとうみそ」を加えると、独得の臭みが消えて、とてもおいしくなるのです。
川魚のアユや、青魚のイワシ。焼き魚にするとおいしいですよね。ここにも「ふきのとうみそ」を添えれば、お魚の生臭みがとれて味がいっそう引き立つそうです。
試してみたいですね!次の早春がとても楽しみ。

Last updated Dec 4, 2005 10:34:45 AM
Jan 13, 2006
井上陽水とサックス菊地成孔 [ カテゴリ未分類 ]
年末年始のビデオを整理していたら、井上陽水空想ハイウェイact4という番組があった。いつもの通り早送りで見ていたが、きらきら光るものを感じたので、再度見た。

井上陽水とサックス奏者菊地成孔。「ジェラシー」と「背中まで45分」。艶々したサックスで心地よい。

ギター・押尾コータロー、ピアノ・山下洋輔、ウクレレ・ジェイク・シマブクロ、スティールギター・高田漣(れん)などと共演し、井上陽水が歌う。

ウクレレのジェイク・シマブクロは超絶技巧。

スティールギターは不思議な楽器。足を上下左右に動かすと音が微妙に変わる。そこで、上手な人になるとあまり動かなくなる。ステージを終わったあとに父親に「手袋の一つでも編み上がっているのではないか」と言われるという。

Jan 11, 2006
~さくらさんの知恵袋~8 「柿とぬかみそ」 [ カテゴリ未分類 ]
秋がふかまると、柿の実が夕日の色に赤く染まります。
さくらさんは、食べ終わったあとの柿の皮も無駄にしません。柿の皮は、いったん干して乾かし、きざんでぬか床に入れます。すると、ぬかみそに漬けるきゅうりなど、野菜の色が鮮やかなままできあがります。さすが!これが技というものですね。
お隣に住んでいる男の子は、おつけものが大好き。ときどき、ぬか床の中を見に来るそうです。お野菜の色鮮やかなぬか床、見たいですよね。
ぬかみそを洗ったお水は、花や、庭の木や、鉢植えなどにあげるそうです。
本当に、なにひとつ無駄がないですね。そしてそれは、食べものをおいしくいただくコツともつながっている大切なことなのですね。さくらさんから教えていただくことは、聞いているだけでとてもこころがやわらかになるような、そんなやさしいお話ばかりです。

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お正月に一番うまくできたお料理は「ぶり大根」でした。すこし甘く煮てみました。いまヨーグルトは自分で作って食べていますが、昔は買っていました。フローズンシュガーがどんどんたまりました。うちには砂糖がないので、いつもなら甘みはみりんですが、今回はフローズンシュガーを使ってみました。先日はコーヒーを入れたついでにフローズンシュガーを入れて甘くしたら、缶コーヒーみたいになってカロリーいっぱいになりました。

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「知恵袋」などと書いておいて言うのも何ですが、やはり知恵は「タイムリーであること」が命だと思います。タイミングが良ければ「知恵袋」です。タイミングがずれていると今回の「柿とぬかみそ」みたいになっちゃいます。さくらさんの実際の話はとてもタイムリーで本当に知恵袋なのですが、このように書いてみるとなんだか時差のある海外中継みたいです。

Jan 7, 2006
~さくらさんの知恵袋~7 「さくらさんのしそ揚げ」

しそは、とても重宝する食べもの。そのまま揚げてもおいしいし、刻めばふわあっと立ちのぼる香り。さくらさんは、しその実も大切にします。生姜を合わせて佃煮にすれば食卓に小鉢が一つ増えますし、おにぎりの具にもなりますね。
「捨てるのがもったいなくて…」とさくらさんは語ります。
さくらさんは、むかし「機織り」を仲間といっしょにしていたそうです。そのお仲間は、ほとんどお年寄りでした。さくらさんは機織りの技術と一緒に「むかしの生活の知恵」をも教わった、とても大切なことを教わったんですとほほえみました。

機織りを続けていると下半身を使わなくなるので、お散歩をしなさいといわれて、実行しているそうです。

凝り性なんですね、さくらさんは自分でおかいこさんから糸をとって、その糸を自分で草木染めで染めて、ブラウスを作りました。一つは自分用、一つはお姉さん用、作りかけがもう一つあるのですが、それは作りかけのままとのことです。


肝心のしそ揚げを書き忘れました。2006-1-7追記。

「さくらさんのしそ揚げ」
1.お魚を、三枚おろしにします。
2.おろした身に、酒、塩をふっておきます。(臭みがとれ、身がひきしまります)
3.溶いた小麦粉と、刻んだしその葉を魚の身にまぶして、揚げます。
(しその葉のかわりににんじんの葉でもいい香り)
溶いた小麦粉をうすく魚の身につけて揚げると、身が柔らかくほくほくと仕上がります。