入院患者は173万人に 30年ピーク

入院患者は173万人に 30年ピーク、政投銀推計
2010年6月1日   提供:共同通信社
全国の入院患者数は増加を続け、ピークを迎える2030年には1日あたり173万1千人と05年に比べて33・6%増になる見通しであることが31日、日本政策投資銀行の推計で分かった。都市部を中心に急速に高齢化が進むとみられるためで、地域によっては医療施設や人材が不足する可能性がある。
厚生労働省の「患者調査」と国立社会保障・人口問題研究所の「日本の都道府県別将来推計人口」を基に5年ごとの患者数を推計。政投銀が病院関係者向けにまとめている「病院業界事情ハンドブック2010」に盛り込んだ。
都道府県別でみると、05年から30年までの入院患者の増加率が最も大きいのは、埼玉県の64・1%増。神奈川県の61・0%増、沖縄県の58・2%増が続いた。全国の入院患者は35年には30年比1・3%減と減少に転じるが、東京都や神奈川、愛知、滋賀、沖縄の各県では35年まで入院患者が増え続けると予測している。
一方、秋田県は15年がピークになり、山形、島根の各県は30年までほぼ横ばいで推移している。
政投銀によると、都道府県ごとにみた病院のベッド数は08年現在で、厚労省の定めた基準に比べ北海道や大阪府で過剰となる半面、岐阜県や千葉県では不足している。
政投銀企業金融第4部の青山竜文(あおやま・たつふみ)氏は「ここ20年程度で医療をめぐる環境は激変する。地域にあったサービスを提供することと、医師、看護師の確保が重要になってくる」と指摘している。