家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で農家や周辺住民の心のケア

家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、宮崎県は農家や周辺住民の心のケアに力を入れている。

県内各地の保健所などに電話相談の窓口を開いており、感染の恐怖や被害拡大の罪悪感にさいなまれる農家などから相談が寄せられている。高齢者や独り暮らしの農家に対しては、自治体が直接電話をかけ、こころの健康を確認する取り組みを始めることも検討している。

県障害福祉課によると、相談窓口は4月26日から県下10か所の保健所などに開設し、保健師が対応している。今月24日現在、7件の相談があり、「隣接農家が被災したが、自分のせいで感染が広がったかもしれない」「知人が外出できず、疲労していて心配」「処分された牛や豚のにおい、鳴き声がつらい」など、切実な声が寄せられているという。

一方で、子どもたちへの影響も懸念される。県教委は、県内すべての公立小中高に対して、〈1〉農業高生や畜産農家の生徒に対する差別やいじめがないよう正しい情報提供の徹底〈2〉心のケアが必要な場合はスクールカウンセラーを活用すること–などを求める文書を各市町村教委を通じて配布した。今のところ、被害報告はないという。

また、県は各市町村とも連携して、精神疾患を患う危険性が高いとされる高齢や独居の農家などへ電話をかけ、こころの健康状態を確認するケアの実施を検討している。発生地などを対象とする予定で、自治体の担当課の職員や保健師らが体調を聞き取る。

県障害福祉課は「口蹄疫で緊張状態が続き、重いストレスにさらされているケースも多い。うつ病などに発展してしまう恐れもあり、こころのケアが大切だ」としている。