「孫育て」がママたち救う

「孫育て」がママたち救う
孫育て|育児知識|行政・経営
2010/05/19(水) No.M012534
祖父母パワー生かそう 各地で講座
「孫育て」と名付けた講座やセミナーが各地で開かれている。医師や助産師らが、命の大切さや最新の育児知識を伝えるのが好評で、専門家によるおもちゃや絵本選びの話も参考になると、娘らが一緒に参加することも多い。
元日に初孫が生まれた木村悦子さん(52)は昨年、岡山市の「サン・クリニック」が開いている孫育てセミナーに、娘の廣瀬由貴さん(25)らと参加した。娘夫婦の家とは徒歩5分ほどの距離。娘が育児休暇を終えて来年復職したら、現在のパート勤務を辞める予定で、孫と向き合う時間も長くなりそうだ。
木村さんは、「孫育ての心構えを学びました。母乳の与え方が、自分のころと変わってきていることなどがわかってよかった」と振り返り、由貴さんは、「夫の両親も一緒に参加しました。今はわからないことも相談にのってもらえて心強い」と話す。
サン・クリニックが、セミナーを始めたのは2001年。粉ミルクとは違った母乳育児の良さを強調したり、入浴のコツを伝えたりするほか、山縣(やまがた)威日(たけひ)院長も、「だれもが生まれたときに、おめでとうという祝福と、幸せであれという祈りをもらう。おばあちゃんには心のオアシス、おじいちゃんには孫の道しるべになってほしい」などと講演で呼びかける。
育児の様々な相談にあたっている保健師の鶴川明子さんは、「抱き癖がつくことを心配せず、泣いたら抱っこ、ほしがればおっぱいを飲ませていいでしょう。昔は湯冷ましを飲ませたという人もいますが、生後半年くらいは母乳以外必要ありません」と話している。
日本助産師会は08年から孫育て講座を始めた。子供の虐待が一つのきっかけとなったという。人間関係が希薄な都市部などでは、地域にアンテナを張る祖父母世代ならではの役割もある。岡本喜代子専務理事は、「自分の孫だけが孫と思わないでほしい。少子化が進む中で、地域で子供の成長を見守ることが大切です」と強調する。本部がある東京都台東区で開く講座は、奇数月と偶数月でテーマを替え、毎回1000円で参加者を募る。
隣の墨田区では、NPO「すみだ学習ガーデン」が4月、ハッピー孫育て講座を開講した。区民のボランティアが企画、運営する仕組みで、初年度は全5回。受講生からは「自分の子育ての時に聞きたかった」など孫育てへの期待が膨らんでいる。
常勤で大きな存在感
01年生まれの子供の動向を追跡する厚生労働省の21世紀出生児縦断調査によると、祖父母と行き来する頻度は、同居を含めて週2回以上が全体の半数以上(1歳半のとき)。7歳時点では、母が常勤だと、パート・アルバイトの場合より、祖父母に子育てに大いに協力してもらっている割合が高くなるなど、祖父母の存在が大きい。
祖父母とパパ、ママ、孫のみんなが幸せになる“トリプルハッピー”を提唱する、インターネットサイト「孫育て上手」の棒田明子編集長は、「子育ての主役はパパ・ママ。祖父母はサポーターという役割分担をきちんと行い、孫を中心とした関係を築くことがポイントです。すぐにでも行動を起こして、幸せの循環を実現してほしい」と話している。
◆サン・クリニックの取り組みは「孫育ての時間」(吉備人出版、1400円、税別)、棒田さんの主張は「祖父母に孫をあずける賢い100の方法」(岩崎書店、1300円、税別)が参考になる。
◆「孫育て上手」については、ホームページ(http://www.yuchan.net/yuchan/mago/)を参照。
◆日本助産師会((電)03・3866・3054)