秋の叙景歌

風吹けば落つるもみじ葉 水きよみ 散らぬ影さへ底に見えつつ (凡河内躬恒 おおしこうちのみつね 古今集)

風が吹いて紅葉が散る。池水が澄んでいるので、一方では池の底にある葉の像があり、他方ではまだ枝にある葉が池に映った像がある。この両者が重なり合って見える。このめまい。

心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 
も凡河内躬恒である。初霜と白菊の見分けがつかないと歌っている。

叙景の味わいである。